前回の記事でホットケーキミックスについて触れ、ふと思い出したものがある。





私の愛読書、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』(講談社文庫)にでてくるホットケーキだ。

主人公の「僕」の友人である「鼠」の好物がホットケーキなのだ。

その食べ方がとても独特。


p99:鼠の好物は焼きたてのホット・ケーキである。彼はそれを深い皿に何枚か重ね、ナイフできちんと4つに切り、その上にコカ・コーラを1瓶注ぎかける。
 僕が初めて鼠の家を訪れた時、彼は5月のやわらかな日ざしの下にテーブルを持ち出して、その不気味な食物を胃の中に流し込んでいる最中だった。
 「この食い物の優れた点は、」と鼠は僕に言った、「食事と飲み物が一体化していることだ。」



ホットケーキにコーラかけちゃうの?!
しかも1瓶丸ごと!?
ビショビショになっちゃう!!

と思ったのだが、でも待てよ、
ご飯にもお茶をかけてお茶漬けにするではないか。
お味噌汁をかけて食べる人もいるではないか。
(味噌汁は飲み物というよりおかずに近いが・・・)

小説の中で「鼠」が言っている、「食事と飲み物が一体化していること」はそれほど不自然なことではない。

ホットケーキにかけるものといえば、メープルシロップやはちみつが定番だ。
それらを「甘み」として考えれば、コーラも十分仲間に入る。



20200531


でも、真似をしてみる勇気はない。
若さ漲る強靭な代謝がないと、うまく消化できる気がしない(笑)



風の歌を聴け (講談社文庫)


それにしてもこの作品は何度読み返しても新しい気付きがある。

何度読んでも飽きない、そんな小説があって幸せ。

もうすぐ夏。
また『風の歌を聴け』を読むのにぴったりな季節がやって来る。


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